ごみ焼却処理施設
オンライン見学ページ
クリーンセンター多摩川では見学の受付を随時行っていますが、さまざまな理由で見学に来ることができない方向けにホームページ上でも施設紹介をしています。 普段の見学では見ることができない工場内の作業現場も動画で紹介していますので、ぜひ一度ご覧ください。
クリーンセンター多摩川のごみ焼却施設
クリーンセンター多摩川は、構成4市(稲城市・狛江市・府中市・国立市)の市民が出したごみの中間処理(ごみを燃やして灰にするまでの処理)を行う清掃工場です。家庭などから出たごみは収集車で集められ、1日あたり約250トンのごみがクリーンセンター多摩川に運び込まれます。
ごみ焼却施設の焼却炉は3炉あり、1炉あたり150トン/日のごみを処理することができますので、最大で450トン/日のごみを処理することができます。通常はローテーションで交互に2炉で運転をしており、毎年2月に実施する補修工事に伴う全炉停止期間を除き一年中24時間休むことなくごみの処理が行われています。
それでは、実際にごみ処理の行程を見ていきましょう。
ごみ処理の行程
ごみの収集と計量
家庭などから出たごみは、構成市の委託業者のごみ収集車(パッカー車)で集められ、クリーンセンター多摩川に到着するとまずは収集したごみの量を計量します。これはごみの量を構成市ごとに集計し、実績を把握するとともに、今後のごみ処理計画等に役立てるためです。 クリーンセンター多摩川でごみを下ろすと、また皆さんのまちへ戻り、何度も往復しながらごみの収集は行われています。
ごみピット・ごみクレーン
計量を終えた収集車は、ごみを一時ためておく場所(ごみピット)にごみを下ろします。ごみピットの容積は7,200立方メートルもあり、小学校の25メートルプールに置き換えると約25杯分になり、また、収集車に換算すると約1,500台分のごみをためておくことができます。
ごみピットにためられたごみは、ごみクレーンで掴み、焼却炉の入口(ホッパー)に投入されて、焼却炉の中でごみを燃やします。ごみクレーンは、1回に約2トンのごみを掴むことができます。
ごみクレーン操作室
ごみクレーン操作室では操作員が焼却炉の中の温度などを見ながら、ホッパーに投入するタイミングを計っています。ごみを投入するタイミングは、1時間に3回程度となります。その間は、ごみを撹拌する作業を行っています。これは、ごみピット内には濡れているごみ、乾いているごみ、燃えやすいごみ、燃えにくいごみが混ざっており、このまま焼却炉に投入すると焼却炉の温度が変化してしまうため、均一に混ぜ合わせる必要があるからです。ごみを完全に燃焼させるためには焼却温度を850℃以上に保つ必要があり、これにより有害な排ガスの発生を抑えることにつながっています。
ごみを燃やす仕事は、昼も夜も一日中行われ、ほぼ休むことなく一年中行われています。なお、ごみクレーンは昼間は操作員による運転を行いますが、夜間はコンピューターによる自動運転が行われています。
焼却炉(150t/24h×3炉)
クリーンセンター多摩川には全連続燃焼式ストーカ炉が3炉あり、一日あたり最大で450トンのごみを処理することができます。通常は2炉で運転しており、ローテーションで炉の整備が行われています。
炉の構造は、耐火壁で囲まれた炉本体の下部にストーカと呼ばれる火格子を配置したもので、火格子は幅3mで全長11mの3段構造となっており、1段目はごみを乾燥させ、2段目で大部分のごみを燃焼させ、3段目で燃え残ったごみを完全に燃やして灰にするといったようにそれぞれ役割を持っています。
ここで出る灰を「主灰」と呼んでいますが、主灰の体積はごみの体積に比べ約20分の1になります。ごみを燃やす理由は、ごみの体積を減らし、エコセメント化施設に運びやすくするためでもあります。
灰ピット
主灰から鉄分や大きな燃えがらを取り除くなどの選別が行われ、灰ピットに運ばれます。その後、専用のトラックで日の出町にあるエコセメント化施設に運び出され、灰は全量リサイクルが行われます。この施設が稼働したことにより、現在はごみの埋め立てゼロを達成しています。
東京たま広域資源循環組合のエコセメント事業についてはこちらをご覧ください。
ごみ処理行程の動画
これまで見てきたごみの焼却処理の行程と灰処理の行程について、動画で詳しく解説しています。
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公害を防止する設備
完全燃焼による熱分解
ごみを燃やした時には様々なガスが発生しますが、その中にはCOガス(一酸化炭素)やダイオキシンなども含まれています。そこで、この炉では出口部分に絞りを設け、その未燃ガスを強制的に撹拌する構造になっています。
撹拌されたガスにさらに二次空気を送り込んで、未燃ガスを燃焼させ、温度も850℃以上に保ってダイオキシンなどを熱分解させています。
ボイラー室
炉の出口部分で850℃以上になったガスがボイラー室を通過するときに熱交換が行われ、発電などに使用するための蒸気を発生させます。ボイラーを通過したガスは温度が220℃ぐらいまでに下がります。
減温塔
ボイラーを通過したガスは次にこの減温塔に導かれますが、ここでは水を噴霧してガスの温度を一気に150℃に下げます。ボイラーを通過したガスの中にはまだCOガス(一酸化炭素)が残っていますが、それが残っていると未燃カーボンや金属化合物が触媒となってダイオキシンが再生成されます。320℃~450℃で最も顕著に生成されると言われていますので、ここで排ガスを一気に150℃までに下げ、ダイオキシンの再生成を抑制しています。
ろ過式集じん機
ろ過式集じん機にはバグフィルタと呼ばれるガラス質の特殊な繊維でつくられた「ろ布(直径17cm、長さ5.5m)」が、1基あたり384本ずつ入っています。ろ過式集じん機の入口でガスに消石灰を吹きかけて、HcI(塩化水素)やSOx(いおう酸化物)と反応させ、粉状の反応生成物をつくり、バグフィルタ(ろ布)でちりやほこりと一緒に取り除きます。また、ここではダイオキシンも低分子系の物質に変えられ除去されます。
ここで取り除いた灰は「飛灰」と呼ばれ、環境対策が講じられた車両でエコセメント化施設へ送られます。
触媒脱硝装置(しょくばいだっしょうそうち)
ろ過式集じん機で大部分の有害物質は除去できますが、NOx(窒素酸化物)だけは除去し切れません。そこで、バグフィルタを通過したガスにアンモニアを吹き込んでからここに送り込み、触媒の作用によって、無害な窒素ガスと水とに分解します。触媒反応を活発にするためには温度を約210℃までに上げる必要があります。そこでいったん150℃までに下げたガスをここでは蒸気によって再度210℃までに上げ、触媒反応の効率を高めています。
煙突
触媒脱硝装置を通過したガスは大部分が無害な水蒸気で、それが最終的には煙突から排出されます。しかし、水蒸気といえどもで、それが白くもくもくと出ていたのでは見た目にあまり良い印象を与えません。そこで、よほど寒い時期でなければ白煙が出ないようにするため、白煙防止装置を通し加熱してから煙突に送り込んでいます。(ただし、地球温暖化の元となる温室効果ガス排出量の削減を目的として、現在は白煙防止装置の運用を停止しています。)
煙突の高さは80mで先端の直径は7mありますが、その中には3本(1炉につき1本)の鋼管が入っており、それが実際の煙突になります。
公害を防止する設備について動画
これまで見てきた公害を防止する設備について、動画で詳しく解説しています。
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余熱エネルギーの有効活用
蒸気タービン発電機
クリーンセンター多摩川では、ごみを燃やした熱を利用して発電を行っています。ごみ焼却で発生した高温の排ガスはボイラー室で蒸気を作り出し、その蒸気を蒸気タービンの羽根車に吹き込んで高速回転させます。そして、蒸気タービンに連結した発電機を回すことによって電気を作り出しています。この電気はクリーンセンター多摩川の所内の動力源として使用するほか、余った電気は売電しています。
高温水パイプライン
ごみ焼却で発生した熱エネルギーは蒸気タービン発電以外にも使用されており、クリーンセンター多摩川内の冷暖房や給湯に使われているほか、川崎街道の歩道の下にパイプラインを敷設して、1.2km離れた稲城市立病院・健康プラザに高温水を供給し、そこで冷暖房や温水プールの熱源として有効活用されています。
(パイプライン敷設のイメージ)
余熱エネルギーの有効活用について動画
これまで見てきた余熱エネルギーの有効活用について、動画で詳しく解説しています。
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